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夢か幻か(リンク小説)

前回までのあらすじ

序章

序章2 

 

ある男はこう言った

 

教えてやろう…貴様は我々のためにある…いや、作られたとでも言っておこう

 

我々イルミナスのためにな

 

フフ…フハハ…ンフハハハッハッハッハ

 

~VRフィールド ガーディアンズ地下通路~

「あ…あぁ…危ない!」

ハンスの叫びに呼応するかのように計器に釘付けだったルークもようやく事態に気づいた

「オルガ!後ろだ!」

だが、2人は焦りのあまりマイクを使うことを忘れていたため、その声は届かなかった

「あぁ!?聞こえないよマイクをつか…ぐあっ!」

突如背中に強烈な衝撃を受けた

何が起こったのかを認知する間もなく、彼女は数メートルは吹き飛ばされた

何とか受身を取り、体勢はすぐに整えることができたものの

現実と変わらないその痛みに地に膝をついた

「くっ!…背中が…VRのくせにこうもリアルとは…」

そしてようやくルークがマイクを使い彼女に危険を伝えた

「オルガ!まだ来るぞ!」

そう奴はまだ沈んでいなかった

「え…?」

よく見ると彼女の足元に大きな影が

それを見た彼女は反射的に跳躍してその場から距離を置いた

それとほぼ同時に何か大きな物が降ってきて、地面に突き刺さった

「……!…馬鹿な…なんで生きてるんだよ…!」

確かに倒したはずだった

彼女の目の前には上顎から先が無いマガシが立っていたのだ

たが、動いているのはその1体だけだった

半身を分断されたマガシ、細切れにされたマガシはどうやら既に細胞壊死を起こし

消えているようだった

これならいけると彼女は確信した

「ふん…なら今度こそ動けないようにしてやるよ!」

だが…

もう一度セイバーを起動し、彼との距離を詰めようとしたその時

「痛ぅ…!」

先ほど受けた背中へのダメージが思いのほか大きく

力が入らなかった

一方、VRシミュレーターの司令室では

「なんだよこれ!こんなプログラミング入力してないぞ!」

焦るルークは部屋中を駆け回り、様々な計器や操作盤をいじっていた

「主任!何してるんですか!オルガさんが危険ですよ!早く強制終了してください!」

彼女の様子を見てこれ以上は危険と判断したハンスはシミュレーションの終了を促した

しかし

「さっきからやろうとしてるよ!だが、一切操作を受け付けないんだよ!…計器も異常な数値を出しっぱなしだ…なんだよこれ…」

ルークも危険と判断し強制終了を行おうとしていたが出来ずにいた

「じゃ、じゃあ一体どうすれば…」

どうしようも出来ない二人は彼女を信じるしかなかったのだ…

そして彼女の戦いは続いていた

足を止めている間、彼の容赦ない一撃が繰り出された

「ふぁぁぁぁぁぁ!」

最早声にすらなっていない雄たけびを上げつつ

再び突進を繰り出してきた

「くそ…動け、動けよ!」

膝が笑ってなかなか思い通りに体が動かない

スピードだけが彼女の武器だけに、この状況は圧倒的に不利だった

力との勝負では勝てるはずがない

避けるのが無理だとわかった彼女は真っ向勝負を決意し

彼の突進を剣で受け流す事にした

「くっ…重い…」

やはりSEEDの力は絶大で、受け流すのも困難のようで

幾度と受け流し続けていたが、体力の差も大きかった

「はぁ…はぁはぁ…くそ!」

最早勝ち目はないように思えた

この状況を把握したのであろうか、SEEDマガシは下顎だけで不適な笑みを浮かべているかのように見えた

「こいつ…頭がないのにわかるのか…」

そう言うと彼女は足元にあった瓦礫を拾い

自らの右腕に勢いよく突き刺した

「ぐぁぁ…!」

不可解な行動にも思えるその行い

だが、その直後彼女の足の震えは止まりしっかりと地に足をつけていた

他所を痛めつけることでアドレナリンを放出し一時的に痛みの意識を反らしたのだ

片腕で彼に勝てるかは全くもって確証はなかった

だが、やるしかなかった

「この一撃で終わらせる…これでダメなら…私もここまでだな…」

セイバーを左手で持ち、後ろに大きく振りかぶり体勢を低く構えた

そしてマガシもまた体勢を低くし、最後の一撃を放とうとしていた

「うおおぉぉぉぉぉ!」

そして、全てが終わった

二人が通り過ぎたその直後

彼女の右肩から血が噴出していた

「くっ…!だが、私の勝ちだね…」

負傷し、膝をがくりと地につけながらも彼女はマガシの方を見た

そして、マガシに十字の傷が走り、四つに分断された

「流石に、もう起き上がれないだろう…」

その直後、VRフィールドが風化するかのように消えていった

まるでマガシの死に呼応するかのように…

「おい!オルガ!大丈夫か!?」

慌てた様子でVR装置へとルーク達が駆け寄ってきた

「大丈夫ですか!?あぁ、酷い傷だ…」

彼女の傷を見て顔面蒼白になるハンス

応急措置として店にあった布切れで傷を押さえた

「私としたことが…油断したよ…」

独り言を言うかのようにうつむきながら小声で答えた

「あんたも意地の悪いシミュレーション作るねぇ…兄貴そっくりな考えだな」

だが、ルークからは彼女の予想とは違った答えが返ってきた

「いや、あれは俺がプログラミングしたんじゃないんだ…本当なら既にシミュレーションは終わっていたんだよ…なのに一体だけ急に動き出して、それと同時に操作が効かなくなったんだ…これってまさかイルミ…」

そして…

 

それは起こった

 

世界が

 

一つになるその時が 

 

世界が

 

混沌となるその時が 

 

~続く~

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